　KAAT神奈川芸術劇場では、近い将来確実に次世代の歌舞伎界を担う最若手の歌舞伎俳優たちによる若手舞踊公演シリーズ「SUGATA」を、2015年に立ち上げました。
　子役から大人の役者への過渡期にあたる10代半ばから後半は、歌舞伎の本興行への出演の機会が限られる時期でもあります。ぜひKAATを、そんな彼らの研鑽の場にしてほしいと願い、またその姿をお客様と一緒に見守りたいという思いから本シリーズを企画しました。
　初回から出演の中村鷹之資・中村玉太郎も役者として大きく成長し、4年目となる今回で本シリーズも最終回を迎えます。若さと力強さを兼ね備えた魅力を最大限に引き出すため、二人の師匠でもある藤間勘十郎による素踊りの舞踊を上演。フレッシュさに頼もしさも加わった二人の、勢いのある舞台をお楽しみください。

作・演出・振付・出演：藤間勘十郎

■長唄囃子連中「二人三番叟」

三番叟：中村鷹之資

三番叟：中村玉太郎

■通し狂言「雙生隅田川」

中村鷹之資

中村玉太郎

中村種之助

尾上菊之丞

澤村國矢

花柳凜

齋藤琴音

梶栞奈

亀上空花

藤間勘十郎

企画製作：KAAT神奈川芸術劇場
協力：松竹株式会社、株式会社藤間オフィス
お問合せ：チケットかながわ 0570-015-415

平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

３月７日にマスコミの方をお招きし、本公演にかける意気込みや見所を取材していただきました。

ご登壇者のコメントをぜひご一読ください！

　　　　写真左より藤間勘十郎、中村玉太郎、中村鷹之資、中村種之助

■藤間勘十郎(作・演出・振付・出演)

シリーズ最終公演ということで、鷹之資、玉太郎の卒業試験的な演目として、古典舞踊の「二人三番叟」と、以前から舞踊劇として手掛けたかった近松門左衛門作の義太夫狂言「雙生隅田川」を選びました。役者はお客様に育てていただくという側面もあります。このSUGATAシリーズをやっていく中で、2人は徐々に自分たちの芝居の良し悪しを考え、分別をつけられるようになってきたように思います。素踊りの舞踊劇で“みえないのをみせる”という難しさもありますが、同時にそこが面白さでもあるので、劇場空間を活かし、派手なスペクタクルあふれる舞台にしようと考えています。歌舞伎や日本舞踊をご存知ない方たちにも楽しんでいただけるよう、また一人でも多くのお客様に「3月はこのSUGATAが一番面白かった」と言っていただけるよう、どこの劇場にも負けないパワーで取り組んでまいります。

■中村鷹之資

今回は、初めての早替わりにも挑戦しますし「大滝の立回り」があると、聞いただけでワクワクしています。「SUGATA」という公演タイトルの由来でもあるように、私たちの成長するスガタをお客様にみていただき、今後も見守り続けていただけるような公演にしたいです。高校を卒業し4月から大学生になる節目として、この3年間で学んだことを、余すことなくすべて出し切り、思い切りやらせていただきたいと思います。そして、このKAATのSUGATAをきっかけに、歌舞伎座などの本興行にも、足を運んでいただけるお客様が増えればよいなと思います。

■中村玉太郎

SUGATAという公演のシリーズは、今回でいったん終わりますが、私たちはこれからが本当のスタートです。今回は、義太夫のシーンで台詞もたくさんあるので、プレッシャーも大きいですが、これまで見聞きしてきた先輩方の芸を思い出し、一生懸命取り組みたいです。このSUGATAのシリーズに出演するうちに、子役時代とはちがってお芝居のことを自発的に考えるようになりました。この3年間で学んだお役や演出のことを、いつか本興行で活かせる日がくるとよいなと思います。

■中村種之助

ご宗家演出の若手舞踊公演（「趣向の華」）での経験が、大人になった今、活きていると実感しています。今度はこのSUGATAで、少しでもご恩返しができるといいと思っています。女方と、鯉の精という二役に挑戦するので、ご宗家の演出意図に添えるよう、存分に勉強させていただき、精一杯努めたいです。お客様に、「あの人たちの若い時の舞台を、昔KAATで観たことがある」と、この公演を観たことを誇りに思ってもらえるような舞台にしたいと思っています。