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主催事業情報 2025/3/28 KAATアトリウム映像プロジェクト vol.32|安藤由佳子
KAAT神奈川芸術劇場エントランスに広がるアトリウムに映し出される巨大映像。
3月28日(金)より安藤由佳子さんの作品《Post 2025》、《Notice》を上映します。
日常生活に潜む違和感を浮かび上がらせる映像作品となっています。
上映期間
2025年3月28日(金)ー6月30日(月)
●会期中無休 10:00-18:00
●夜公演がある日は終演時刻まで上映
<観覧無料>
作品説明

《Post 2025》2006/2025年 DV 03:40
《Post 2025》は、ドイツポストを装い、配達物を小脇に抱えた人物が、街を歩き回る映像作品です。穏やかな陽射しの下、彼の姿は一見日常的でありながら、従来の郵便配達員とは異なる佇まいを見せます。鑑賞者は、ほのかな違和感と共に、彼が何をしているのかを探り始めます。
あたりまえの日常や、揺るぎないはずの社会の仕組みは、信用に値するものだろうか。私はそんな疑念を、現実と虚構が交錯する映像であぶり出し、この人物を都市の風景に溶け込ませました。そして、鑑賞者に普段あまり意識することのない「日常」の輪郭を問い直すきっかけを与えます。
《Post 2025》は、2006年に発表したプロジェクト《s-t-e-f-a-n》に属する映像作品を、アトリウム映像プロジェクトのためにリメイクした作品です。

《Notice》2006年 DV 07:27
《Notice》は、2006年から2014年にかけて、形を変えながら発表された、数字を用いた作品群の一つです。日常生活において、数字は、時間や周期、お金や縁起、順位や評価など、さまざまな象徴として私たちの意識に刻まれています。そして、デジタル社会が進展する現代においては、数字が持つ意味はさらに多層的に広がり、単なる数量や記号を超えて、情報や価値、信用といった、人間の暮らしや思考に深く結びつく存在となっています。
本作品では、赤と白に彩られた太い数字が高速回転で表示され、ある瞬間、一つの数字が停止して浮かび上がります。しかし、それも束の間、数字は再び回転の渦に消えていき、次の数字が現れます。カレンダーやビンゴゲームに着想を得たこの映像作品は、移ろいゆく数字との出会いと別れを通じて、数字の持つ象徴性や、私たちの日常に潜む「時」と「偶然」の妙を静かに浮かび上がらせます。
プロフィール
安藤由佳子|Yukako Ando
1972年生まれ。1994年京都精華大学を卒業。1994-2001年国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに在籍し、2000年マクダレーナ・イェテロバよりマイスターシューラー取得、2001年アカデミーブリーフ(Diploma)取得。渡独後はドイツ、ヨーロッパを中心に作品を発表。2013年文化庁新進芸術家海外研修を機にアメリカに移住し、活動拠点を広げる。2021年より活動拠点を日本に移す。
日々の生活や日常の様々なエピソードを通して、内的世界と外的世界の関係性を問い、根源的な人間の生への営みや、人間社会の在り方への疑問をインスタレーション、オブジェ、アクション、ハプニング、映像などを用いて問いかける。
2014年、KAAT神奈川芸術劇場『日常/オフレコ』に出展。
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