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お知らせ 2024/5/20 「DANCE×Scrum!!!2024」に関するお問い合わせにつきまして

5月3日から6日までKAAT神奈川芸術劇場で上演されました「DANCE×Scrum!!!2024」公演に関し、イスラエル国籍のアーティストの出演、またイスラエル大使館の後援の是非について、複数の方からお問い合わせをいただきました。これらは、当劇場および公立文化施設のあり方に対する問題提起であると受け止めており、その運営方針に深く関わる内容であるため、長塚芸術監督とも協議の上、当劇場の立場について、以下のように表明します。

 

KAAT神奈川芸術劇場は、パレスチナ/イスラエルをはじめ、世界各地で起きている戦争と暴力により、数多くの市民が犠牲となっていることを深く憂慮し、一刻も早い事態の収束を願っていることをあらためて表明いたします。

 

当劇場は、あらゆる立場からの、あらゆる暴力、非人道的な行為に反対します。同時に、そうした行為に直接加担していないことを前提に、文化芸術の表現の場として、国籍、性別、思想、信条などにかかわらず、あらゆる人にひらかれた場であることを目指しています。また、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」遵守の立場から、表現自体が反社会的なものでない限り、表現者のさまざまな属性を理由に上演・出演を妨げることはできません。当該公演については、事前に主催者から、参加するメンバーの中に暴力、非人道的な行為に直接加担している者はいないとの情報共有を受け、上演の中止や出演の取りやめを求めるには当たらないと判断しました。

 

また、国際文化交流における関係機関等による後援に関しては、そのアーティスト支援の在り方を劇場や主催者が主体的に判断し、多様な文化が共存する可能性を示すための国際文化交流を続けていかなければならないと考えています。当該公演においては、作品やアーティストに、国威の発揚や戦争の賛美に当たる表現・意図はないと事前に情報共有を受け、また実際にそれらが認められなかったことを確認しております。

 

あらゆる暴力、非人道的な行為に反対する立場に立った上で、紛争、衝突、戦争が起きているときこそ、直接あるいは間接の対話の機会をつくることが文化芸術の役割だと当劇場は考えます。その上で、公の場として、公立文化施設が社会に求められるあり方を考え続けてまいります。

 

公益財団法人 神奈川芸術文化財団
KAAT神奈川芸術劇場 館長 眞野純