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主催事業情報 2024/9/19 KAATアトリウム映像プロジェクト vol.29|南条嘉毅
KAAT神奈川芸術劇場エントランスに広がるアトリウムに映し出される巨大映像。
9月19日(木)より、南条嘉毅の作品、《スズ・シアター・ミュージアム「余光の海」より》を上映します。
能登半島地震で被害を受けた石川県珠洲市の海を2020〜24年に撮影した映像作品です。また、合わせて劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」のショートフィルムも上映します。
上映期間
2024年9月19日(木)~10月31日(木)11月8日(金)※変更となりました
●会期中無休 10:00-18:00
●夜公演がある日は終演時刻まで上映
<観覧無料>
【関連事業】
KAAT EXHIBITION 2024 南条嘉毅展|地中の渦
2024年9月23日(月・休)~10月20日(日)<中スタジオ>
作品説明
《スズ・シアター・ミュージアム「余光の海」より》
《余光の海》短編 2024年 03:35
撮影:南条嘉毅
編集:川嶋鉄工場
昨日の海と今日の海は同じだろうか。
南条嘉毅は2017年、2021年、2023年と奥能登国際芸術祭に参加し、2021年には珠洲市の劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」の演出・キュレーションを手掛けた。南条は、《余光の海》と題し、会場中央部に珠洲の古代の地層から掘り出した砂を敷き詰め、木造船、古いピアノなどを据えて映像を照射した。民具に紛れて運びこまれた古い帳面には、墨で和歌や俳句が書かれていた。そこから想起された、時代と状況が変化してもずっと変わらない景色や思いを手掛かりに、土や旧いモノがはらむ記憶の残照を浮かびあがらせた。
作品制作の合間に、目の前に広がる珠洲の海を何度も眺めたことだろう。
今回の映像は、《余光の海》に2024年4月に撮影した珠洲の海を追加している。
2024年1月1日に能登半島を襲った大地震。巨大な大地のエネルギーは、変わらないと思っていた珠洲の海の風景を一変させた。地盤が隆起して地表に現れた海底。人の営みの時間軸とは異なる壮大な大地の時間軸を目の当たりにした、作家のまなざしの変化が表れている。
《スズ・シアター・ミュージアム ショートフィルム》2022年 02:47
制作:映像ワークショップ合同会社
提供:珠洲市、スズ・シアター・ミュージアム
劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」の紹介するショートフィルムである。能登半島の先端、石川県珠洲市大谷地区の旧西部小学校体育館を再活用した施設で、市内で収集した民具を保存・調査・展示する博物館と、現代美術作家のアート作品を展示する美術館が融合した、これまでにないかたちのミュージアム。珠洲の家々に眠っていた民具、生活用具を収集・保存し、アート作品として新たな価値を付与する、他には類を見ない「珠洲の大蔵ざらえ」プロジェクトが発端となり、ミュージアムが生まれた。キュレーション・演出を美術家の南条嘉毅が手掛け、「奥能登国際芸術祭2020+」の開幕に合わせてオープンした。能登半島地震以降は休館しているが、珠洲市内の記憶を宿した道具の修復が作家たちによって進められている。
プロフィール
南条嘉毅|Yoshitaka Nanjo
1977年香川県生まれ。2001年東京造形大学造形学部美術Ⅰ類卒業、2002年に同大学研究科(絵画)を修了。
東京、和歌山を拠点に、風景とその場所性をテーマとしたインスタレーションや絵画作品の制作活動を各地で展開する。制作対象の場所に赴き、取材や調査を繰り返し、現在だけではなく歴史的・地理的側面からもその土地を考察し、複層的な表現方法をとる。また制作場所の土壌などをもちいることで、場所が持つイメージや時間を付与する試みも行っており、その根底には絵画の場所性に対する作家なりの試行が垣間見える。2017年の奥能登国際芸術祭以降は、土、砂を主要な材料としながらも、音と光を加えノスタルジックな空間を通した劇場型のインスタレーション作品として新たな表現方法を確立。いちはらアート×ミックス (2017年)、瀬戸内国際芸術祭での制作機会も重ね、奥能登国際芸術祭2020+ではアーティストとしてだけでなく「スズ・シアター・ミュージアム 光の方舟」のキュレーションと演出も担った。
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▼KAATアトリウム映像プロジェクト上映作品一覧